2017年8月27日日曜日

ポエトリースラムが好きだ

ポエトリーリーディングの日本選手権、ポエトリー・スラム・ジャパンも、村田活彦氏の手でスタートして3年目。これまで全ての大会にエントリーし、2016年には優勝してパリで行われたポエトリースラムW杯に出場することができた。

私は「詩のボクシング」に出場したことからポエトリーリーディングを始めた。2015年に、三角みづ紀・橘上の両氏とともにベルギーのモンスで開催された「SLAMons&Friends2015」に招聘して頂いたことで、初めて観客からランダムに選ばれたジャッジにより採点される国際ポエトリースラムというものを経験した。その後、ポエトリースラムW杯、そして昨年末にはイスラエルでのIsrael Slamstivalにも参加する中で、ポエトリースラムというものの存在意義についてずっと考え続けてきた。

私がポエトリースラムというものについてどう思っているかは、そのIsrael Slamstivalに出場するにあたって以前のブログに書いたが、現在でも大きく考えは変っていない。色々な意味で、詩の朗読、ポエトリーリーディングという曖昧なものを競技化することで、失われるものは当然にあると思っている。しかし、当たり前だけれどポエトリースラムは「詩」そのものではなく、「詩」という大きな大きな概念の中のいわば外環に属するもので、その一つのあり方にしか過ぎないとも思っている。それは、例えば剣道において元来は竹刀による競技はその一つのあり方にしか過ぎず、真剣による操作を竹刀に置き換えることで失われるものがあるのと同じことだ。竹刀競技は剣道の全部ではないのだ。ただ、竹刀による競技であっても、コートに赴く人間の心の中に剣道精神が息づいていれば、そこで行われる競技は、まぎれもなく剣道という概念の中の出来事となるのだ。

剣道における竹刀の導入は、安全性と間口の広がりを、そして様々な点での技術的な向上と修業者の対人稽古量の飛躍的増大をもたらした。

ポエトリースラムは何をもたらし得るのか。その答えはこれから何年もかけて導き出されることになるだろうが、これまでの経験から、一人ひとりの個人としての人間、そしてその人間性を肯定するゲームとして、ポエトリースラムは極めて優れたものであると思っている。

私はポエトリースラムが好きだ。

同時に、それに関わる限り、「詩」とポエトリースラムの関係性、自らの創作における「詩」について、自分自身に問い続けなければならないと思う。竹刀剣道が「剣道」の一部であり、剣道から乖離して存在するものではないように、ポエトリースラムもまた「詩」の一部であることは念頭に置き続けたい。私は詩人だ。

ポエトリースラムジャパン2017秋大会、もちろん出場する。まずは9月2日(土)、新宿の芸能花伝舎にて開催される東京大会Cだ。詳細はこちらをご覧ください。そして、お時間のある方は是非ともご観覧にお出で下さい。この国で3年目を迎える、観客ジャッジによるポエトリースラム。何が行われ、どんなことが起こるのか。どうぞ見届けに、体感しにいらして下さいませ。

☆☆☆

ポエトリースラムジャパン2017秋 東京大会C

13:00開場
13:30開演
20:00 終演予定

エントリー定員24名/全国大会進出3名
【会場】新宿・芸能花伝舎B3スペース
【料金】1500円
【MC】猫道(猫道一家)
【DJ】K.T.R(胎動DJ Night)
*休憩室(キッズルーム)あります。





2017年8月21日月曜日

おめでたいことと千葉詩亭。

8月19日、千葉詩亭でいつもお世話になっているTREASURE RIVER BOOK CAFEのオーナー、宝川さんの結婚式二次会に参加。たいへん素敵なパーティーで、宝川さんご夫妻の人徳と人望をあらためて感じる。ビンゴゲームではファブリックアーティストの森川エリーさん作のかわいいぬいぐるみを頂いた。「キメラ猫」とのこと。


明けて20日。マスコットがわりにキメラ猫をバッグに詰めてまたTREASURE RIVER BOOK CAFEへ。千葉詩亭・第四十七回、ゲストはカワグチタケシさん。実は地元・佐倉市出身である。現在は都内在住で、京葉線に乗っていらっしゃった。


なんだかファンシーな風船などが目につくが、これは19日の結婚式二次会の名残り。

カワグチさんの朗読は、鬼面人を驚かす、というようなことが一切なく、また技術を見せつけるような名人芸で一瞬のウケをさらう、というようなこともない。その朗読は丁寧かつ真摯そのもので、紡がれる詩の言葉は、無用な自意識なしに世界と向き合う時にのみ生まれる深みと重みで満ちている。流れる水のように静かに、そして力強く会場を魅了する30分間。

オープンマイク参加は、

OOMさん
佐々木漣さん
廣川ちあきさん
もりひろしさん
川方祥大さん

という皆様。地に足の着いた、それでいながら楽しいパフォーマンスが続いた。今回は地元・千葉からのお客様が多く、千葉人にしかわからない具体的な地名が作品の中を飛び交う場面も散見され、これまでの千葉詩亭の中でも「千葉のオープンマイク」テイストが強かったように思う。

オープニングは山口勲がネオミ・シーハブ・ナイの『A4搭乗口』を、ラストは私が『大島健夫自伝』をそれぞれ朗読した。お食事メニューは冷やし中華とチキンサグカレー・・・であったが、カレーは開場後一瞬で売り切れてしまい、スタミナ丼に横滑りした。私は冷やし中華を頂いたが、例によって美味でした。

次回の千葉詩亭、「第四十八回」は10月15日(日)の開催だ。

いつもありがとうございます。初めての方もいつもの方も、心からお待ちしております。





2017年8月9日水曜日

詩と旅

8月3日に千葉にやってきたデンマーク・ポエトリースラム王者Emil Nygardと、大学で生物学を学んでいるという友人Robin Huzell。我が家を皮切りに、仏教寺院、森の中の山小屋等色々なところに宿泊させつつ4日間、一緒に車で千葉を旅した。山に登り、伝統的な谷津田を歩き、中世城郭を見学するなどゆるゆると動き回っていた。

二人とも旅慣れており、常に主体的に動くが、かと言って思いやりに欠けるわけでもなく、明るくて闊達だがうるさいわけでもなく、政治から歴史に至るまで繰り出す質問も常にシャープで、一緒に旅をするには最高の人間性の持ち主だった。気心の知れたEmilは当然ながら、生物学を学ぶRobinともすっかり仲良くなった。寺院に泊まっている際には、外からウシガエルの声が聴こえたのをきっかけに、日本と欧州の外来生物を巡る諸問題について長時間話し合ったりもした。

異邦人とともに旅をすると、普段自分が見慣れた房総の事物も、また違った趣をもって目の前に現れる。おまけにずっと英語で喋っているので、なんとなく自分も海外にいるように気分になってくる。その間、いろいろなバックボーンを持つ私の知人たちと会っているが、EmilもRobinも常に誰とでも良好な関係を築いていた。もっとも、彼らのこれまでの四半世紀ほどの人生でたどった道のり、そしてその上で彼ら二人がどのようなことを重視して生きているかということを聞くにつけ、それも当然という気はした。

そして7日(月)は渋谷でポエトリーリーディングオープンマイクSPIRIT。Emilは金子みすずの『私と小鳥と鈴と』の日本語での朗読から始まり、英語とデンマーク語を駆使してその実力をきっちり示してみせた。いま、日本でポエトリー・スラム・ジャパンに出てくる人たちは、おそらく「パリに行きたい」とは思っていても、実際にパリでどんな人と戦うのかということについては、多分何も考えていない人が多いと思う。Emilの、フラットでありながらインサイトの深い視点、言語の異なる観客相手でも決して飽きさせないパフォーマンス能力は見ていて惚れ惚れする。フランスやイスラエルで見てきた彼の朗読を、渋谷のSPIRITでこうして見ることができたのは本当に嬉しくて感慨深いことだった。

この日は台風が接近中で、開場前には激しい雨も降った。それでも多くの方がいらっしゃって下さった。心から感謝したい。人生には様々なことが起こる。大きいことから小さいことまで、辛いこと、悲しいこと、苦しいこと、寂しいことの全てがそこにはある。あるいはまた、嬉しいこと、幸せなこともある。そしてそうした事象を前に自分自身と対話し、もう一度向かい合う時、詩は常にそこにある。

詩は最高だ。

EmilとRobinは富士山に向けて出発した。彼らがいなくなったら、夫婦ふたりだけの家は、こんなに狭いのになんだかがらんとしている。また今日から、新しい旅が始まる。


2017年8月2日水曜日

世界から千葉へ

さて、前回までの日記にさんざん名前が出てきているデンマークのポエトリー・スラム王者Emil Nygardとその友人Robin。明日からしばらく千葉に滞在するのである。そしてEmilは7日には渋谷でポエトリーリーディングオープンマイクSPIRITにゲスト出演する。乞うご期待である。

彼とは昨年5月にパリでのポエトリー・スラムW杯で出会った。ノリの軽い明るいお兄さんだが、ステージに上がってもやはりノリが軽く明るく、しかしそのリーディングの「自意識を押しつけずに、テキストとパフォーマンスでしっかりとお客さんに伝わる度」はたいしたもので、事実あの時、テキストを手に持っての朗読をしながら決勝ラウンドに進出したのは彼だけだったはずだ。その後、年末にIsrael Slamstivalで再会し、W杯の上位進出者だけがブッキングされている中、テルアビブ・ラウンドで優勝したのは彼だった。

世界中を旅しているEmilとRobinと一緒に私のふるさと房総半島をうろうろして、どんな風景が見えるのか私自身楽しみである。そして皆様、是非、8月7日(月)の夜は渋谷RUBY ROOMに彼のパフォーマンスを体験しにいらっしゃってください。

☆☆☆

POETRY READING OPEN MIC
SPIRIT

2017年8月7日(月)
会場:渋谷 RUBY ROOM

開場 19:30
開演 20:00
入場料 2000円(2ドリンク付)

▽主宰・出演
大島健夫/URAOCB

▽スペシャルゲスト
Emil Nygard

※オープンマイクは当日先着16名まで1名あたり制限時間5分、それ以降制限時間4分。22時40分に到達した時点でオープンマイク時間終了




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